かなり以前のことですが、気になっていた女性とおしゃべりを楽しみたい、と彼女の会社の外で仕事が終わって出てくるまで待っていたことがありました。不気味だと言われればそれまでですが。
私はバイクが好きなこともあり、ヘルメットをかぶったままバイクに乗って彼女を待っていました。時は冬でした。
仕事が終わったらしく、建物から出てきた彼女にヘルメットを脱いであいさつしようとしたところで、なんと帽子をかぶっていないことに気づいてしまいました。
どこかに忘れてきたのか、落としてしまったのか。帽子のない私は、彼女の前に出る勇気もなく、遠くから彼女を見つめているしかありませんでした。
帽子をなくした不運と円形脱毛症に罹ってしまった不運との両方を私は心の中で呪っていました。


