円形脱毛症と個人病院2
円形脱毛症の患者にとっては、多少痛い思いをしようが血がちょっとぐらい出ようが、毛さえ生えてきてくれればそれでいい、という気持ちがあります。この切羽詰った感覚は、円形脱毛症にかかったことのない人にはわからないと思います。
私の行った個人病院の医者が、「痛くて血も出るからやめたほうが」と言うのを聞いたとき、私は愕然としてしまいました。脱毛症に効果があるとわかっているのなら、たとえ少し痛くても注射をするのが医者というものなのではないか。
円形脱毛症を患って苦節○年。ありとあらゆることを試し、快方と悪化を繰り返して一喜一憂してきた私にとって、注射針の痛みなど、なんでもないことがこの医者にはわからないのだろうか。
だいいち、痛いのは私であって、医者の君ではないではないか。それなのに、どうしてそんなに気弱になるのか。
などなど、心の中では色々なことをつぶやいた私でしたが、医者の顔を見て真っ向から思っていることをぶちまける勇気がなぜか出てきませんでした。円形脱毛症は、それだけ私の精神状態をも参らせていたのだ、と改めて気がついた次第でした。
結局、じっと黙って無味乾燥な診察を終えた後、とうてい効果絶大とは思えないような軟膏を渡されました。これなら、フロジン液のほうがずっとよかったのに、と思いましたが勇気を出して口にすることもできず、私は診察料をおとなしく払って負け犬のように病院から出てきました。
